〜買うまで〜
私は数年前に参考サイト(下記参照)などで野望の王国を知った。しかしその頃、コミック版もワイド版も絶版になっていたため、通常の本屋で購入することが出来なかった。
そのためネットで情報を探して、置いてるマンガ喫茶を訪問していた。読んだ後、さらに読みたくなった。コンビニ版が出たものの、続きがなかなか出ないのもそれに拍車をかけた。
猛烈に欲しいという衝動は止められず、オークションなどを探した結果15000円でコミック版を全巻手に入れた。
私がヨチヨチ歩きの頃の本なので、中古で購入したそれは、結構痛んでいて変色や汚れが目立つが、気分は「ねんがんの 野望の王国をてにいれたぞ!」である。誰かに殺してでも奪い取られやしないか、心配もしたものである。
その1年後くらいか、野望の王国は、完全版という、全9巻の分厚いコミックで復刊した。たったの10000円ほどで新品のお値打ちものが買えてしまうのである。
しかし稀にだが、ゴミ捨て場で拾った人もいる。運が良すぎる。
〜迫力〜
作画は由起賢二。劇画といえば池上遼一が有名だが、この男も凄い。実に魅力的な男達を静止画のように描ききっている。見開きの「な、なんだって!?」等はMMRをも凌駕する。
あまりにも凄い迫力なので、サルでも描けるまんが教室でパロディが多用される。
〜作者〜
長寿漫画の美味しんぼで、キャラに自分の思想を語らせてる事でおなじみの雁屋哲。美味しんぼといえば国民的な認知が高い料理漫画だが、その直前まで極めて過激な漫画を多数書いていた。美味しんぼ初期のキャラが尖っていたのも、前作までを見ればよくわかるというものだ。
男組や男大空、こちらは池上遼一が作画を担当している。
〜あらすじ〜
主人公の橘と片岡は東大法学部きっての天才。しかし彼らは官庁にも大企業にも興味は無い。ヤクザの妾の子である橘は、決まり切ったエリートコースで社会に服従する事よりも、自分を冷たい目で見てきた社会を壊し、自分たちの王国を作るという野望を志していた。
同期も教授も、自分たちの王国を作るという考えを聞いて、驚き「勉強のしすぎで頭がおかしくなった」などと思った。当然である。そしてその直後、ヤクザの大親分である父親が死亡し、橘と片岡の野望は動き始める。
〜魅力的な登場人物〜
橘征五郎
妾の子という立場で辛い思いをしてきた過去を持つ。そのため年功序列などではなく、実力と暴力で日本を制する野望を持つ。だが野望を実現するには愛すべき征二郎を殺さなければならない、という葛藤で悩む。頭脳明晰でスポーツ万能。頭がいいのに、よく意味不明な作戦を思いつく。
片岡仁
征五郎と同じく、社会に対する強い怒りを持つ。頭脳明晰で冷静沈着にして知恵物。その称号の割にはあまりいいアイデアを出さないし、よく驚いている。「よし完璧だ」1ページ後→「ぬ、ぬかった!」
橘征二郎
征五郎の兄で、征五郎とは腹違いの妾の子。切れ者で偉大な兄。征五郎の野望に気づきながらも兄弟愛で苦悩する兄。まさに兄のカリスマ。兄の中の兄。重症を負ってまだ包帯が取れてないのに、野生の猿並に木登り出来るなど最強の男。
柿崎憲
征五郎や片岡と同じく、東大法学部卒だが、警視庁に入る変わり種。登場時は署長。実は、警察という暴力機構を自分の支配下に入れるためであり、野望に燃える男であった。冷酷で頭脳明晰、蛇のように執念深い。警察署内に自分の親衛隊を作る。プロのライセンス持ちが運転する最高のチューンナップをした車相手に、普通の車で渡り合ったり、さらに運転中の拳銃射撃でも絶大な命中率を誇るという無茶なキャラ。しばしばキチガイ化する。「このクソバエどもっ!なんだその目つきは!きさまら卑しい身分の人間の癖に、この私をジロジロ見るとは無礼な!」
トク
征五郎と片岡の部下。中学卒業後すぐに野望の準備を始め、屈強な精鋭を集める兵隊長のような存在。様々な工作技術や諜報能力を持つ。トクがいなければ、二人の思いつく奇想天外なアイデアは実現できない。
疋矢繁
関西の犬キチガイのヤクザ。一発ネタの使い捨てキャラとしか思えないキャラだったが、中盤から結構なレギュラー化した大物。
赤寺
征二郎の副官。征五郎にどんな人と聞かれ「俺にとっての赤寺は、征五郎にとっての片岡、片岡にとっての征五郎と同じだ」というほどの実力者。片岡をして「ぶ、不気味な…妖気に包まれている…」と言わしめるほどの男。朝食は鶏の頭。子沢山。
橘文子
征二郎と同じ母を持つ。片岡に惚れ、昭和を感じる純愛を展開。冬のソナタや電車男などで純愛ブームらしいが、私としてはそんなものより野望の王国を取り上げるべきであると主張したい。ちなみに橘兄弟は本妻の子が他にもいたが、全員揃って酷い顔をしている。
白川天星
征五郎の後輩。カルト教団の教主の息子。宗教とは麻薬、と言い切り、その教団の力を使って征五郎に協力するが、彼もまた野望を持っている。
右翼の小田
右翼の黒幕。作者の右翼嫌いが露骨に感じられるキャラ。素晴らしい壺をしびん代わりにする、男女両刀の乱交パーティをするなど、醜悪さの権化として描かれる。総理にあんまをさせる俗物的な権力者像として秀逸。「ま、心配するな。君のようなあんまのうまい総理をクビにするつもりはないからのう」
立馬国造
小田の跡を継いだ右翼の黒幕。無駄に身体が大きい。よく全裸になる。ひたすら笑える無意味なシーンを作る凄いキャラ。
〜時代を先取り、バリアフリーを目指す丁寧な説明〜
(紙袋の中からコンクリートブロックを取りだしたのを見て)
「スーパーマーケットの紙袋の中からコンクリートブロックっ!?」
(それで思い切り殴られながら)
「ひ、ひどいっ!コ、コンクリートブロックでっ!」
(狙撃をした後に独り言で)
「サイレンサーを使ったからここで私が銃撃をしていたことに、このビルの住人は誰一人気づいていない。こうしてわずか数時間使うだけなのに、怪しまれぬためにこの事務室を二年契約で借りたりして、私の雇い主は大変な金を使ったようだが、そんなことは私の知ったことではない」
(もちろんこれは何かの伏線とかいうわけではないし、言ったキャラも使い捨てキャラ。)
〜知恵者、頭脳明晰〜
この漫画の中で、そのような触れ込みや称号がついている人物は、しばしば意味不明な作戦や大げさな行動を取る。
〜車〜
この漫画に登場する、改造された車は強い。見た目は普通の車だがマシンガンで蜂の巣にしても塗装がはげるだけ、ロケットランチャーの砲撃にも耐えられる。それどころか、前方にはマシンガンやロケットランチャーを内蔵している。
さらに対ショックもすさまじく、工場内を全速力で走って鉄の機材や鉄格子にぶつかっても無事である。また、頑強な壁に激突しても傷つかない特殊そうなトラックと激突しても、転倒する程度で中の人間は無傷である。現代のアメリカ軍事技術でも実現不可能である。それを「すごい車」で片づけている漫画もなかなか無いだろう。
ちなみに、野望に出てきた兵器に戦車やヘリや戦闘機があるが、そういう一般的な軍事的兵器は大体撃破されている。強化された車が塗装がはげるとか、転倒するだけで済むのも、野望の世界ならではだろう。
〜橘組の標準装備〜
橘組は関東で大きな勢力を持つヤクザである。1巻当初では、トンカチや刀や拳銃といった普通のヤクザ装備だった。ところが中盤からライフルやマシンガン、終盤では、ロケットランチャーを装備し、要塞のようなところに立てこもる敵を蒸し焼きにするナパームまである。
〜ゲーム〜
私が書いたほかの関係する記事
野望のブーン(あれですが)
http://dosaemon.seesaa.net/article/3226450.html
愛犬家協会理事長にしてヤクザ-疋矢繁(キャラ特集)
http://dosaemon.seesaa.net/article/3225818.html
ニュース-犬マニア(ニュース)
http://dosaemon.seesaa.net/article/2961626.html
他サイトの野望の王国参考/レビューなど
http://my.reset.jp/~mars/btg/document9/yabou01.html
http://www3.plala.or.jp/sukekiyo/zakki/zakki04.htm
http://tiyu.tripod.co.jp/n0106.html#13_06_23
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Darts/7480/yaboo/yaboo_japan.html
http://left-hander.cocolog-nifty.com/kimamablog/2004/11/post_2.html
http://blogs.yahoo.co.jp/heavenjun/687564.html
http://ind.jugem.cc/?eid=66
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1109920839/
おまけの美味しんぼとサルまん
http://home8.highway.ne.jp/galzo/manga/oisinbo01.htm
http://blogs.yahoo.co.jp/otokuni/500895.html